地下鉄の中で…
塾からの帰りは、大概、22時半過ぎ。
先週末の金曜日も、学校は休校でも塾は、通常営業。
帰りも通常。
でも、地下鉄内は違った。
20代の女の子が1人、電車を待ってうろうろしていた。うろうろというのは明らかにただ待っているのではなく、何か訳がありそうだった。
誰かに声をかけたがっているように見える。落ち着かないというか…
そこまでは、違和感を感じる程度で、特に問題無く。
ここは、終着駅。
電車が入ってきて、全て客が降りる。
1人残った。乗り過ごしたのだろうか。
降りようともせず、やがて、発車待ちの間に、コンビニの弁当を開けて、食し始める。
風態からして好ましくない。
宜しくない予断と偏見。
酒が入ってるみたいだ。
近くに座らんとこ…と思って、車両の中を移動。すると、私と同年代か70を少し超えたくらいの男…世間では明らかに、お爺さんと呼ばれる…が、乗り込んできて、少しだけ離れたところに座る。
先程の風態良からぬ男から、もう少し離れてこのなんの変哲もないお爺さんの近くに移動しようかな、と思った時、先程の、女の子が、このお爺さんに近寄ってきた。
あのぉ〜、小坂へ行きたいんですけどぉ〜どう行ったら良いかわからなくてぇ〜
実に甘ぁい可愛いげな声で、お爺さんに問う。
お爺さんは、この時点では、普通であった。
ええ〜っ、小坂?(爺)
はい。なかなか着かなくて…(女)
(そらそやろ、ここは八尾南。
とんでもない方向へ来てまっせ…着かへんわ。いつまで経っても…私)
何か谷町線に乗ればって言われたんですけど…(女)
ああ、谷町ね。谷町九丁目でおりて、上本町からでてる近鉄線で、小坂へ行けるわ。谷町九丁目まで戻らなあかんな…(爺)
と、聞こえたり聞こえなかったりの、会話。
あんた、可愛いなぁ…(爺)という声が耳に入った。
ん?横並びなので、目に入らなかったのだが、この声で、雰囲気の怪しげな変化が(爺さんの声が、先程、返事したときから、ガラリとと変わって、一オクターブくらい高くなったからである。)気になり、眼をやると、
女は、爺さんの、横に、座っていた。くっつくように座っていた。
酔っているのだろうか?体がしゃんとしていない。この時点で女は爺さんに、しなだれかかっている。
やばいもの見たかな?と思って眼を戻した。
コンビニ弁当を食べていたおっちゃんが、これに絡まなければいいのだが…という不安。変な騒動になるのは、嫌やな。車両変えようか…
でも心配していたその男、すぐに、出戸で、降車。少しホッ。
で、2人(爺さんと若い女)の、イチャついた会話が、続いている。女より爺さんの下心ありの、声がする。道を教えるのでは無く、可愛い、可愛いの、デレ〜っとした声だけ。会話の中身はあまりない。ただ、それ以上、事態の変化は、声だけでは、わからない。
出戸の次、喜連瓜破で、降りる。
降りしなに、2人に眼をやると、なんてこった。
爺さんの左手は女の背中から肩へ、右手は、ミニスカートの下から、股の奥へ、グイッと伸びて、股のなかを、弄っているのだ。顔は、女の横にピタッと着いている。
女はマスクをしているので、(さっきはしてなかったような…)はっきりわからないのだが、眼を閉じてるのか、寝てるのか?はたまた喘いでいるのか?
大変なとこを目撃してしまった。
慌てて降りたが、降りしなに、女の目が開いて私と目があったような気がする。
まさか、助けを求めてはいなかっただろう。
このあと、あの爺さんと女はどうなるのだろう。
どうなったんだろうと、あれこれ思い巡らしてしまった。
この後の顛末をあれこれ考えているうちに、この夜は、なかなか、すっと、寝られなかったことよ。さて、何パターン考えたでしょうか…