ヒイラギの花が咲いたよ。
先月末には、沢山の蕾をつけていたので、もうすぐだと、思ってはいたが、6日の夜、咲いているのに気がついた。いっせいに咲いたようである。
独特の薫りは、好き好きかも知れない。この花木と出会った頃は、この薫りは、むせるようであまり好みではなかったが、いつの間にやら、気になり始め、今では、惹かれる薫りとなってしまった。
買い物から帰ってくると、この木を矯めつ眇めつ、ながめていらっしゃるご婦人があった。彼女は、お足が、不自由なのであろう、手押し車を支えにしていらっしゃった。
直線通りなので、遠くからずーっと見えていたのだが、なかなか立ち去ろうとしない。
とうとう私は、家の前に来てしまってどうしても話をせざるを得なくなった。
彼女は、何回か家の前を通るたびに、そして 私の知らぬうちに、私がこの家のものであるということを、認識していらっしゃったらしい。
シードが、いるときは、朝夕の、散歩や、世話で行き交うひとと、誰彼となく良く挨拶をしたり、短い会話を、していたから、このご婦人とも、何回か挨拶を交わしたことがあるかも知れぬ。
もう咲くんですね。この薫りが好きなんです。てっぺんから、下の下まで、いっぱい花をつけてますね…などと、仰る。
この辺りでは 、うちのヒイラギは、かなり早く咲くし、もう少し北へ行った、西の角のお家は、我が家よりも半月ほど遅く咲くこと、とか
雨の前、後は特に薫り高くなることや、1週間ほどで、終わりになることなどなど…お応えした。
1週間なの… 毎日 通ろ…と、呟いて、立ち去られた。
二階の窓を開けると、家中に、ヒイラギの薫りが、飛び込んで来る。
小さな、贅沢な時間を、しばらくいただきます。