犬の話

彼女は、捨て犬だった。動物愛護協会で保護されていた。保護されていたとは言え、引き取り手がなければ、行き先が、決まっている。

夏休みに、捨て犬を欲しい人に差し上げる というイベントがあった。その頃小学生だった次女が、犬を飼いたがっていたので、イベント2日目に、夫と三人で、参加した。

既に1日目に多数もらわれていったらしく、残り組み10数匹が、愛護協会の庭で遊んでいた。引き取り希望者が全員での ジャンケンくじだったが、なんと、次女は一番を勝ち取ったのだ。そして、残り組みの中で一番小さいが、一番元気そうで 黒くて耳のピンとたった、彼女を選んだのだ。